家族農業の大義

 今年は国連が定める「国際家族農業年」。実は世界の農業経営体の七割以上が一ヘクタール以下です。国連はこうした小規模家族農業こそが、持続可能な食料生産や食料安全保障、貧困の根絶に貢献できるとし、各国政府にその支援を要請しています。

イネとともに

日本の典型的家族農業・水田+α(野菜・ハーブ)を、奥さんやお母さんと行う福島の佐藤次幸さん。写真絵本「農家になろう イネとともに」(農文協)の主人公の佐藤さんは、一頭の牛を飼う大切さを語ります。牛の餌には草刈りをした畦の雑草や稲わら、収穫後の作物の茎や葉、くず米を使う。もみ殻は敷料に、牛の糞は堆肥にして、田畑に入れ、作物を育てる。こうした小回りのよい資源循環こそは家族農業の強みです。

世界農業遺産

一方、世界食糧機構(FAO)が認定する「世界農業遺産」。小規模家族経営とその共同体によって維持される伝統的農業システムを、世界遺産として評価したものです。日本でもトキと共生する佐渡の里山、阿蘇の草原の維持と持続的農業、静岡の茶草場農法など五か所が認定され、国連大学の武内和彦副学長は祥伝社新書「世界農業遺産」で、日本の小規模農業の国際的価値について熱く語っています。

生活農業論

徳野貞雄氏の「生活農業論」(学文社)も家族農業の実践をベースにした好著。モノとカネに重点を置く「生産力農業論」ではなく、生産と生活が一体となった「生活農業論」の視点から地域農業の再生について論じます。

また、今月下旬には、国連食料保障委員会による報告書「(仮)家族農業の世界史的価値」(農文協)も出版になります。大きいことが「善」とされるグローバリズムに対し、真の国際化の意味を考えさせてくれる希望の一冊です。

 (日本農業新聞「あぜ道書店」2014年1月19日)